杉田 昌隆

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人間はどこまで耐えられるのか F・アッシュクロフト

  • 2020.07.16

鳥取の米子にある皆生温泉の海を3キロ泳いで、大山の山を140キロ自転車乗って、皆生温泉から境港までの往復42キロをマラソンする「全日本トライアスロン皆生大会」。1981年に日本で初めてトライアスロンのレースが開催された聖地です。毎年七月の海の日の三連休に開催されるため兎にも角にも暑さとの闘いとなり「灼熱皆生」とも呼ばれています。2018年に参加した際は気温が35度を超えいつもにも増して灼熱地獄とな […]

山の朝霧 里の湯煙 池内 紀

  • 2020.06.29

積雪期の安達太良山で山腹の「くろがね小屋」の温泉に浸かり一泊し翌朝に山頂を目指す予定で出発したのだけれども、夜半から荒天に向かうという天気予報になったため、くろがね小屋の白いお湯に浸かりその日のうちに速やかに下山した。下山後は麓の岳温泉の村営の湯治宿に宿泊した。冬の東北の湯治宿は静かで趣があり味わい深い一晩となった。翌朝は思いもよらずに時間が出来たため地元の酒蔵「奥の松酒造」を訪れて試飲を楽しんだ […]

カラスのジョンソン ドリアン助川

  • 2020.06.06

怪我をしたカラスを小学生の陽一がアパートの部屋で飼うことから物語が始まる。人間の都合から見たカラスの世界とカラスから見た人間の身勝手を描いたお話であるが、単純にカラスと人間の関係ではなく人間同士の間にもこのカラスと人間のような差別や偏見が存在していることを改めて知る。そして言葉が通じない陽一とジョンソンの間に生まれた友情に心を打たれ、最後まで応援してしまう。 本: 「カラスのジョンソン」 ドリアン […]

下級武士の食日記 青木直己

  • 2020.06.05

幕末の桜田門外の変の三か月後に江戸藩邸の勤務を命じられた紀州和歌山藩の下級武士が記した当時の単身赴任時の食生活の記録を基に江戸の食文化を解明している。万延元年(1860年)5月11日に和歌山城下を出発し江戸に向かってから翌年12月18日に帰るまでの約一年七カ月の食レポ。現代なら東京に単身赴任中のサラリーマンが都内の食生活を綴った食レポのブログということになろう。当時の江戸は旬のものを安く粋に味わっ […]

ちんちん電車 獅子文六

  • 2020.05.05

都内に路面電車はもうほとんど走っていないけど、本の中では今でもしっかりちんちんと走っている。それ行け!タイムスリップ! 本: 「ちんちん電車」 獅子文六 ブックカバー: la billet

嘘八百 今井雅子

  • 2020.05.05

蔵から出てくる宝の数々。吹っ掛けて高値で売りたい輩と安く買いたい輩の駆け引きと騙し合い。騙して騙され、はらわたが煮えくり返っても顔に出さずに次の手を考える。果たして結末はいかに。果たしてお宝はお幾らに。 本: 「嘘八百」 今井雅子 ブックカバー: 会津葵

和ごころ暮らし 平野恵美子

  • 2020.05.05

日本の食器は不思議だと思う。西洋の食器は同じ食器を人数分揃えて、しかも最初から最後まで同じシリーズの食器で通していかないと格好がつかない。中華料理も同じ。日本だと隣の人と自分の食器が違っていても、料理ごとに違った食器を使っていても全く違和感がない。同じ食器のひとつだけに銀継ぎが施してあっても特に変に思うどころかむしろ趣を感じる。そんな形のバラバラは許容されるのに、季節感を外してしまうとこれは全く許 […]

こころ 夏目漱石

  • 2020.04.19

四月二十日は朝日新聞で夏目漱石の「こころ」の連載が始まった日です。大正三年(西暦1914年)のことです。当時のタイトルは「心」。新型コロナウイルスによる外出自粛の四月の日曜日、バルコニーを打ちつける雨を窓越しに、雨音を心地良く聴きながら、静かに「こころ」を読みました。ウイルスといい激しい雨といい、なんだか私たちの度が過ぎた現代社会への警告のように感じました。 本: 「こころ」 夏目漱石 ブックカバ […]

最長片道切符の旅 宮脇俊三

  • 2020.04.11

JRの路線から終点で行き止まりになってしまういわゆる盲腸線を除外していくと、一筆書きでひたすら長い片道乗車券を作ることができる。どうやら乗り鉄の間では、どのルートが最長になるかという情報も飛び交っているらしい。その切符を買いに来る客はいくらお客様といえどかなり面倒な対応をされるらしい。その一筆書きの片道切符、中国と四国が橋で繋がってからは一筆書きで四国には入れなくなってしまったようで、昭和の時代か […]

あん ドリアン助川

  • 2020.03.31

差別や偏見といった人間の理不尽さの中で生きていく人の葛藤や喜びを描いた小説。ドリアン助川さんの原作もそれを美しい映像で表現した河瀨直美さんの映画もどちらも大好きな作品。樹木希林さんの演技が素晴らしい映画は何度も観て何度も泣いた。涙が乾く前にエンディングロールが終了となり劇場で困る映画。春になり桜が咲くと何度でも読みたくなる小説。 「どら焼きいかがですか!」 本: 「あん」 ドリアン助川 ブックカバ […]

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