2021年3月

美味礼讃 海老沢泰久

  • 2021.03.28

大阪に暮らしていた時、料理学校の先生と一緒に料理を作ることができる体験イベントが時々新聞の広告欄に掲載されていた。料理界の東大と言われる辻あべの調理師専門学校の大人版体験入学で、何度か応募して参加したことがあった。先生は料理の手順を説明する際に必ずその理由を説明してくれた。材料の物理的特性を考えた切り方、調味料を加える順番と化学反応の関係、材料の熱の伝わり方と収縮について。深い理論で裏付けされてい […]

さざなみのよる 木皿泉

  • 2021.03.22

一富士二鷹三茄子。富士山の見えるスーパーを営む鷹子の妹を中心に繰り広げられる家族の愛のドラマ。人の命ってどんどん繋がっている。生きているか死んでいるのかは別の話。桜が咲く度にまた読もう。 本: 「さざなみのよる」木皿泉 ブックカバー: 伊藤園

ぼくは朝日 朝倉かすみ

  • 2021.03.21

朝日くんは小学校四年生、小樽に暮らしている。朝に生まれたから朝日と名付けられた。ある日のこと黒猫を差し上げますという張り紙を見つけて夢中になってしまう。朝日くんは黒猫を飼うことを許してもらえるのだろうか。朝日くんに飼われる猫は幸せだろうな。なんせ子どもの気持ちも大人の気持ちもよくわかる朝日くんのことだから、きっと猫の気持ちもわかるはず。そう言えば、小樽に住む僕の友人も猫を飼っていると話していたよう […]

三人屋 原田ひ香

  • 2021.03.21

面倒なことはいつも私に・・・ 嫌なことはいつも僕に・・・ そう思っていても実は周りのみんなに知らないうちに支えられ助けられていることもあるのかも。そしていつかそのことに気付く日がやってくるのかも。三人屋は、朝日・まひる・夜月の三姉妹がそれぞれ朝と昼と夜を切り盛りする商店街の店。僕の住む町にも是非。一日三回毎日通ってしまう。 本: 「三人屋」 原田ひ香 ブックカバー: 鳥と卵の専門店「鳥玉」

おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子

  • 2021.03.07

考古学が趣味の年老いた桃子さんが自分の歩んできた人生を考古学するお話。十年一昔と言われることを考えると、人が老いてゆくということは七つも八つもの昔からの歴史を歩むということである。ひとりひとりの生き方が立派な考古学である。桃子さん、お元気で長生きしてください。 本: 「おらおらでひとりいぐも」 佐竹千佐子 ブックカバー: MAMMUT