他人事 平山夢明

  • 2020.08.22

何者かに追われ逃げる。小さな部屋を見つけて逃げ込む。ホッとしたのも束の間、敵が扉に向かってくる気配を感じる。扉を開けられないように内側から扉の取っ手をしっかり掴む。ところが一風変わった扉の構造で、取っ手を掴んだ手は扉の向こう側に出ている。敵はその手に熱湯をかけてきた。それでもこの扉を引っ張る手を離すわけにはいかない。すると今度は扉ごと取り去ってしまおうと敵は扉とドア枠の隙間にノコギリを入れてきた。 […]

四万十川 あつよしの夏 笹山久三

  • 2020.08.17

この本を読んで無性に四万十川に行きたくなった。江川崎という町の役場でカヌーを借りることができるというので、四万十川を下ってみようと思い立った。大学を卒業して最初の夏のことであった。同級生を誘った。高知駅で待ち合わせをした日は豪雨だった。高知から江川崎に行く列車からは豪快な四万十川が車窓の左右に方向を変えて見えたが、増水のため沈下橋は見えなかった。二人とも就職して間もない時でお金もなく江川崎の駅を宿 […]

でーれーガールズ 原田マハ

  • 2020.07.19

毎年七月になると岡山から桃が届く。岡山と言えばでーれーガールズ。甘い桃にかぶりついて果汁をぽたぽたと垂らしながら、でーれーガールズを読もう。 本:「でーれーガールズ」 原田マハ ブックカバー: 岡山 晴富 帯:「白桃に吉備路の空の青さあり」沢木欣一

人間はどこまで耐えられるのか F・アッシュクロフト

  • 2020.07.16

鳥取の米子にある皆生温泉の海を3キロ泳いで、大山の山を140キロ自転車乗って、皆生温泉から境港までの往復42キロをマラソンする「全日本トライアスロン皆生大会」。1981年に日本で初めてトライアスロンのレースが開催された聖地です。毎年七月の海の日の三連休に開催されるため兎にも角にも暑さとの闘いとなり「灼熱皆生」とも呼ばれています。2018年に参加した際は気温が35度を超えいつもにも増して灼熱地獄とな […]

山の朝霧 里の湯煙 池内 紀

  • 2020.06.29

積雪期の安達太良山で山腹の「くろがね小屋」の温泉に浸かり一泊し翌朝に山頂を目指す予定で出発したのだけれども、夜半から荒天に向かうという天気予報になったため、くろがね小屋の白いお湯に浸かりその日のうちに速やかに下山した。下山後は麓の岳温泉の村営の湯治宿に宿泊した。冬の東北の湯治宿は静かで趣があり味わい深い一晩となった。翌朝は思いもよらずに時間が出来たため地元の酒蔵「奥の松酒造」を訪れて試飲を楽しんだ […]

カラスのジョンソン ドリアン助川

  • 2020.06.06

怪我をしたカラスを小学生の陽一がアパートの部屋で飼うことから物語が始まる。人間の都合から見たカラスの世界とカラスから見た人間の身勝手を描いたお話であるが、単純にカラスと人間の関係ではなく人間同士の間にもこのカラスと人間のような差別や偏見が存在していることを改めて知る。そして言葉が通じない陽一とジョンソンの間に生まれた友情に心を打たれ、最後まで応援してしまう。 本:「カラスのジョンソン」 ドリアン助 […]

下級武士の食日記 青木直己

  • 2020.06.05

幕末の桜田門外の変の三か月後に江戸藩邸の勤務を命じられた紀州和歌山藩の下級武士が記した当時の単身赴任時の食生活の記録を基に江戸の食文化を解明している。万延元年(1860年)5月11日に和歌山城下を出発し江戸に向かってから翌年12月18日に帰るまでの約一年七カ月の食レポ。現代なら東京に単身赴任中のサラリーマンが都内の食生活を綴った食レポのブログということになろう。当時の江戸は旬のものを安く粋に味わっ […]

ちんちん電車 獅子文六

  • 2020.05.05

都内に路面電車はもうほとんど走っていないけど、本の中では今でもしっかりちんちんと走っている。それ行け!タイムスリップ! 本:「ちんちん電車」 獅子文六 ブックカバー:la billet

嘘八百 今井雅子

  • 2020.05.05

蔵から出てくる宝の数々。吹っ掛けて高値で売りたい輩と安く買いたい輩の駆け引きと騙し合い。騙して騙され、はらわたが煮えくり返っても顔に出さずに次の手を考える。果たして結末はいかに。果たしてお宝はお幾らに。 本:「嘘八百」 今井雅子 ブックカバー: 会津葵

和ごころ暮らし 平野恵美子

  • 2020.05.05

日本の食器は不思議だと思う。西洋の食器は同じ食器を人数分揃えて、しかも最初から最後まで同じシリーズの食器で通していかないと格好がつかない。中華料理も同じ。日本だと隣の人と自分の食器が違っていても、料理ごとに違った食器を使っていても全く違和感がない。同じ食器のひとつだけに銀継ぎが施してあっても特に変に思うどころかむしろ趣を感じる。そんな形のバラバラは許容されるのに、季節感を外してしまうとこれは全く許 […]

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