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人を賢くする道具 D.A.ノーマン

  • 2023.10.21

ノーマン博士は認知科学という分野の研究者で、アフォーダンスやユーザビリティーの研究の先駆者と言うことになる。「誰のためのデザイン?」が日本語で出版されたのが1990年で、最初に読んだのもこの年。大学を卒業して三年後。もしも大学生の時にこの本を読んでいたら、ノーマン研究室の扉を叩きにカリフォルニアに行っていたと思う。勿論そんな行動力があったとは思えないのだが、それくらい腹に落ちたデザイン理論である。 […]

地球のはぐれ方 東京するめクラブ

  • 2023.09.16

仕事で一週間ほど名古屋に滞在したことがある。実に楽しかった。名古屋メシも楽しかった。コンパルも行った。味仙も行った。山本屋も行った。矢場トンも行った。ひつまぶしも食べた。名古屋駅のホームきしめんも片っ端から食べた。神宮きしめんも食べた。まだまだ探したりない名古屋メシ。その後、名古屋には何度も行った。ユニークな円頓寺商店街にも行った。大須観音商店街はマニアックな店が次から次へと現れてきて、まるで上野 […]

52ヘルツのクジラたち 町田そのこ

  • 2023.09.03

友人が渋谷区で「いるか家」をやっている。ここは行き場を見失ってしまった子供たちのための居場所である。しかし「いるか家」は、子供たちのスペースであるだけではなく、大人へも開かれたスペースであるという。現代は子供であれ大人であれ誰もが様々な問題を抱えながら生きている社会である。こういった「いるか家」のような隙間が社会には必要なのだろうと、友人のお話を聞いてつくづく思った。 社会で自分の居場所を探しなが […]

アナログ ビートたけし

  • 2023.08.26

僕の大学生の時代、当時は未だコンピュータがデザインの現場に導入されていることはほとんど無く、大学で行っているプロダクトデザインの作業も全てアナログだった。ロットリングのメカニカルペンを駆使して図面や文字を描き、あるとあらゆる材料を駆使して模型を作った。僕はこの模型作りが大好きで、課題制作の大詰めになると学校の製図室で寝泊まりしながら模型を作った。もしも現代のようにいろんな作業をコンピュータで進める […]

モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語 内田洋子

  • 2023.08.20

イタリア北部の山奥に位置するモンテレッジォという村は資源に乏しく農産物にも恵まれなかったため、この村の人たちは何世紀にもわたり籠に入れた本を担いでイタリア中に本を行商して歩いていたという。イタリアの地図にもイタリアのローカルなガイドブックにも一切紹介されていない小さな村。イタリア全土に本を読むということを広めていったこの村の住人たち。 僕は1999年の数か月をイタリアで暮らしている。南部のペスカー […]

ぷくぷく 森沢明夫

  • 2023.08.06

自分の気持ちに素直になれない原因になっているコンプレックス。実は、他人からは本人が思うよりずっと些細なことだったりするのかもしれない。このお話の中のふたり(?)は、其々のコンプレックスの基に共通点があるが、自分ではそれに気づくことができない。傷みを取り除くことはできなくとも、傷みを小さくしてくれる出来事はきっとやってくる。読み終えて暖かな気持ちになる物語。 本: 「ぷくぷく」 森沢明夫 ブックカバ […]

ここに住みたい 堀内誠一

  • 2023.07.09

アートディレクターでもあり絵本作家でもある堀内誠一さんの目線で旅先の街を描き綴った旅のエッセイ。海外のあちこちの街が魅力たっぷりに紹介されている。確かにどこも住んでみたくなる街である。僕も60歳を目前にして、これまでに海外15か国、国内47都道府県を訪れる機会に恵まれた。実際に訪れた街の中で最も住みたいと思った街は島根県の松江である。お城がある街は朝のランニングがなぜかとても得をした気がする。お城 […]

ぼくたちの家族 早見和真

  • 2023.06.25

この家族、我が家にとても似ている。全く頼りない父親、冷静に着々とものごとを進める息子たち、ハワイに行きたい母親。 家族って何だろう? 幸せって何だろう? 家族だからこそ言えないことがある。家族だから百点満点の幸せなんてない。家族だから・・・ 家族の数だけ幸せの数もあり、家族の数だけ争いごともある。この家族、とても好きです。いつか家族全員でハワイに行けますように。 本: 「ぼくたちの家族」 早見和真 […]

世界ぐるっと朝食紀行 西川治

  • 2023.05.21

僕は旅先のホテルで食事をするのがあまり好きではない。特に朝食のビュッフェというものはどうも好きになれない。海外の街であれば、その国ならではのローカルな食事を食べさせてくれる食堂が朝早くから営業している場合がある。特にアジアの国々では食堂は朝の時間帯が面白い。観光客なんかが行かない、地元の住民のための食堂なんかが面白い。上海の路地裏で食べたちょっと怪しげな麺は、美味しかったかどうかはさておき、実にス […]

牧野富太郎の恋 長尾剛

  • 2023.04.29

身体が弱かった幼少の頃の僕は、一緒に暮らしていた明治生まれの祖母にドクダミ茶を飲まされていた。苦いドクダミ茶を飲むのは子供にとって苦痛以外の何ものでもなく、鼻と舌がそれが何かを感じ取る前に一気に流し込むように飲むしか方法がなかった。道端を歩いていてドクダミを見つけると、それだけでドクダミ茶を飲む瞬間を思い出してしまうので、思わず目をそらしていた。きっと牧野富太郎さんくらいに探求心があれば、その花や […]

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