総員起シ 吉村昭

  • 2025.12.21
総員起シ 吉村昭

門司港から夜行のフェリーで松山に渡り、道後温泉で朝風呂に浸かった後に、伊予鉄道で三津に行き、のんびりと三津浜を散策したことがあった。三津浜は江戸から明治にかけて栄えた船の発着地点で、「坂ノ上の雲」の秋山兄弟や正岡子規などが激動の時代へと漕ぎだした地である。古い町並みや造船施設などノスタルジックな雰囲気がたっぷりと味わえる素敵な界隈であった。 「総員起シ」は戦争中に起こった船の事故を生存者の証言を基に綴った五つの物語。舞台は日本の小さな町や村。まさか、あの静かで穏やかな三津浜で潜水艦が沈没するという悲劇があったとは、あの街をのんびり歩いている時には全く知らなかった。日本のどんな小さな町にも戦争の悲劇があったのだろうと想像させられる。戦争は起こって欲しくない。

本: 「総員起シ」 吉村昭
ブックカバー: 三津お散歩マップ