汽車旅12か月 宮脇俊三

  • 2023.12.27
汽車旅12か月 宮脇俊三

上野発、札幌行きの寝台特急「北斗星」の運行を終了するというニュースが流れ、家族で「北斗星」に乗って北海道旅行に行くことになった。ラストランとなるほんの数日前の寝台特急券を4人分手に入れることができ、その雄姿を写真に収めようという大勢の鉄道ファンに見送られて「北斗星」は上野駅を出発した。上下二段のベッドが向かい合った半コンパートメントでは、上に登ったり下に降りたりワクワクソワソワしながら家族それぞれの場所を確保した。食堂車での夕食も楽しんだ。お酒も飲んだ。北へ進む列車の周囲は知らぬ間に雪景色になっていた。途中停車する駅の照明の照らされたホームにはしんしんと静かに大粒の雪が降り積もり、誰もいない真夜中の雪のホームに汽笛を響かせてゆっくりと出発した。ディーゼルの振動とレールのつなぎ目を通過する際のリズムがとても心地よく、旅情を掻き立てる条件が全て整った。朝食は車内で「グランシャリオ弁当」を調達して、雪景色の津軽湾を見ながら食べた。北海道内に入った列車は、函館から程よい速度で進み、お昼に札幌駅のホームに到着した。この旅行で、小樽と札幌と函館に泊まり、特急列車で青森に渡り、新青森から新幹線に乗って東京まで帰ってきた。道内で三泊したけれど、この旅の思い出は兎にも角にも「北斗星」である。現在はもうこのような贅沢な列車の旅をすることはできない。せめて「汽車旅12か月」を読んで想像力を掻き立ててその気分を味わおう。

本:  「汽車旅12か月」 宮脇俊三
ブックカバー: グランシャリオ弁当