人を賢くする道具 D.A.ノーマン

  • 2023.10.21
人を賢くする道具 D.A.ノーマン

ノーマン博士は認知科学という分野の研究者で、アフォーダンスやユーザビリティーの研究の先駆者と言うことになる。「誰のためのデザイン?」が日本語で出版されたのが1990年で、最初に読んだのもこの年。大学を卒業して三年後。もしも大学生の時にこの本を読んでいたら、ノーマン研究室の扉を叩きにカリフォルニアに行っていたと思う。勿論そんな行動力があったとは思えないのだが、それくらい腹に落ちたデザイン理論である。その後、ノーマン博士の著書は何冊か日本語に訳され、その度に研究で扱う対象が広くってゆく。身の回りにあふれる道具の形状に始まり、機械の操作パネルのレイアウト、空間デザイン、システムやサービスなどのインタラクションなど、ありとあらゆる次元で発生する間違いや混乱のメカニズムを論じてきた。「人を賢くする道具」ではコンピューターが支配する社会のアフォーダンスが論じられている。「15ゲーム」というルールの例で、いかにテクノロジーが僕たちに理解不能なタスクを課しているのか理解できた。

本: 「人を賢くする道具」 D.A.ノーマン
ブックカバー: DEAN & DELUCA