ここに住みたい 堀内誠一
- 2023.07.09
- 本

アートディレクターでもあり絵本作家でもある堀内誠一さんの目線で旅先の街を描き綴った旅のエッセイ。海外のあちこちの街が魅力たっぷりに紹介されている。確かにどこも住んでみたくなる街である。僕も60歳を目前にして、これまでに海外15か国、国内47都道府県を訪れる機会に恵まれた。実際に訪れた街の中で最も住みたいと思った街は島根県の松江である。お城がある街は朝のランニングがなぜかとても得をした気がする。お城のある街は全国でたくさんあるが、松江の魅力は何と言っても宍道湖である。街の西側に位置するため、大きく静かな湖面にゆっくりと沈んでゆく夕陽を街の中心に居ながら鑑賞することができる。道を足早に歩く市民も日没時だけは足を止めて宍道湖を見つめ、まるで時間が止まったような光景となる。夕陽を見る絶好のスポットが街のあちこちにある。これほどまでに夕方のランニングが楽しい街も他にはない。更に、松江は古くからお茶の文化が発達し、美しい和菓子もたくさん生まれている。民藝運動が盛んな山陰の街という土地柄もあり、何から何までとても繊細で優雅な街なのである。
本: 「ここに住みたい」 堀内誠一
ブックカバー: 彩雲堂
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