2021年5月

アンマーとぼくら 有川ひろ

  • 2021.05.15

僕の幼い頃、幼稚園や小学校の行事には仕事をしていた母親に代わっていつも祖母が来てくれた。幼稚園の時に一度だけバス遠足に仕事を休んだ母親が来てくれたことがあった。行先は水族館だったのを覚えているが、僕が覚えているのはバスの中で母親と隣通しに座っていた時間のことだけだ。沖縄に帰省をした三日間だけの親子の出来事を暖かく描いた「アンマーとぼくら」を読み終えて、母がまだ元気なうちにあの水族館に母と一緒に行っ […]

あの歌がきこえる 重松 清

  • 2021.05.15

僕の生まれ育った町はテレビで放送される民法が二局しかなかったせいで「ザ・ベストテン」を見ることができなかった。高校三年生の秋の頃、友達の家でセブンスターをふかしながら時間を潰していた時のこと。いきなり友達が「なあ東京の大学受けに行かんか?」と言い出した。いやあ、びっくりした。なんせ自分の知ってる人の中で東京に行ったことのある人間なんて誰もいない。「あほか、俺らこんな勉強しとらんのに東京の大学なんて […]

装丁物語 和田 誠

  • 2021.05.14

随分と大変な本を読んでしまった。イラストレーターでありグラフィックデザイナーである和田誠さんが施した本の装丁についての記録。和田さんは依頼を受けると必ずゲラを読み、装丁の構想を描き、イラストを描きあるいは調達し、レタリングをつくり、レイアウトし、インクを指定し、紙質や厚さを確認し、帯の取り外し前後でどう変わるのかも考えて一冊の本を装丁する。シリーズものなら並べて置いたときにどう見えるのかも考える。 […]

世にも奇妙なマラソン大会 高野秀行

  • 2021.05.07

「佐渡はさつまいもをふたつ並べてくくったような形をしています。今いる場所はさつまいもが西側でひっついているところ。明日の朝6時にここをスタートして北側のさつまいもの海岸線を南側のさつまいもと東側でひっついているところまで行ってください。ここで仮眠を取るかそのまま進むかを選択して、南側のさつまいももぐるっと廻って明々後日の朝6時までに今いるここまで戻ってきてください。距離は208キロです。仮眠所以外 […]

北の人名録 倉本 聰

  • 2021.05.03

倉本さんが富良野に暮らしだしてからの日々の出来事を綴ったエッセイ。この時期に出合った人たちやエピソードであの「北の国から」が作られている。登場人物は皆さん実在の富良野の人たち。お食事処「くまげら」で普段から酒を酌み交わしていた人たちなのだ。心に沁みるシーンがたくさんあったドラマだったけれども、ラーメン屋で五郎さんが怒鳴るシーンは本当に涙が止まらなかった。 (この本は富良野のお食事処「くまげら」で買 […]