雪国 川端康成

  • 2019.07.07
雪国 川端康成

伊豆で年を越したことがある。修善寺の新井旅館に泊まった。明治5年創業の老舗旅館。建物もほぼ当時の状態で使われている。新井旅館は大きな池の上に建っている。創業当時はまだポンプというものが無かったので、宿の周りに川から水をひきその水圧を利用して地下から温泉の湯を汲み上げたのだそうだ。玄関を通り池に面した幾つかの渡り廊下を渡って部屋に案内される。奥の部屋に辿り着くためには廊下を何度も曲がりそのたびに違う角度から池と対面する。部屋に到着する頃にはすっかりと日常から切り離される。ベテランの仲居さんの適度な親切具合にこの旅館の風格を感じる。新井旅館は数々の文人・画人が過ごした温泉旅館でもある。芥川龍之介、泉鏡花、尾崎紅葉、井伏鱒二、島崎藤村、そして川端康成。浴衣に着替えて当時のままの不均一ガラスの窓から外を眺めるともう文人気分である。表紙をめくるとそこは雪国であった。朝になり目が覚めると正月を迎えた旅館の玄関先で餅つきが始まることを仲居さんが教えてくれた。

(本の内容と投稿の内容は全く関係ありません。)

本: 「雪国」川端康成
ブックカバー: 新井旅館


(新井旅館、伊豆修善寺)