水曜の朝、午前三時 蓮見圭一

  • 2019.08.20
水曜の朝、午前三時 蓮見圭一

大阪万博を機に知り合った人達の人間関係を、義理の息子の視線で描いた小説。僕にはこれが架空の話とは思えない。大阪万博に日本中が興奮した時のことを覚えているということもあると思う。また、1970年というのは戦後たかだか25年の時代であり、国籍や男女の差別そして貧困というものが日常的に存在し、それらが万博の華やかさの中で見え隠れしていたことも思い出したからかもしれない。そして、あの時もしもこういう選択をしていたら・・あるいは、していなかったら・・と思うことは誰しもがあり、人はそういう後悔とか疑問の念に包まれて生きていることに改めて気付かされたからだとも思う。人生は選択の連続だ。でも、それが良かったのか悪かったのか誰にもわからない。そして、正しい選択であろうが、正しくない選択であろうが、人は生きていけねばならない。

本: 「水曜の朝、午前三時」 蓮見圭一
ブックカバー: 茅の舎
撮影: 水曜の朝午前三時