肉まんを新大阪で 平松洋子

  • 2025.11.01
肉まんを新大阪で 平松洋子

まだサンダーバードが大阪ー金沢間で営業運転をしていた頃、大阪駅でサンダーバードの座席に座り出発を待っていた。乗客の多くは年末の帰省客と思われる雰囲気があり、みなが静かに出発を待っていた。すると、雪の影響で線路に倒竹があり撤去のために少なくとも一時間は出発できないというアナウンスが流れた。静かに座って出発を待っていた乗客の皆さんは、アナウンス終了と同時に一斉に買い出しに出掛けて行った。しばらくして、その乗客の皆さんが戻ってくると、サンダーバードの車内は、たこ焼きあり、焼きそばあり、イカ焼きありと、まるで阪神百貨店の地下の食料品売り場みたいな状態になった。もちろん551蓬莱の豚まんもあちこちに鎮座していた。あのようなゴージャスなサンダーバードの車内は滅多に体験できるものではない。

本: 「肉まんを新大阪で」 平松洋子
ブックカバー: 551蓬莱