ことり 小川洋子

  • 2021.09.17
ことり 小川洋子

兄は小鳥の言葉を理解することができるのだけれど人間の言葉を話すことができない。兄は決まったことを繰り返すことでしか生きていくことができず、その外の世界に出ることができない。兄と一緒に暮らすのは兄を唯一理解することができる小父さん。小父さんは鳥小屋を毎日丁寧に掃除する。鳥小屋の小鳥たちは外の世界を知らずに生きている。社会の目立たないところでひっそりと暮らす人たちにも社会の不条理が迫ってくる。外の世界に出ることができない兄と外の世界を知らない小鳥が自分たちの社会と重なってくる。

本: 「ことり」 小川洋子
ブックカバー: TOBICHI