総員起シ 吉村昭
- 2025.12.21
門司港から夜行のフェリーで松山に渡り、道後温泉で朝風呂に浸かった後に、伊予鉄道で三津に行き、のんびりと三津浜を散策したことがあった。三津浜は江戸から明治にかけて栄えた船の発着地点で、「坂ノ上の雲」の秋山兄弟や正岡子規などが激動の時代へと漕ぎだした地である。古い町並みや造船施設などノスタルジックな雰囲気がたっぷりと味わえる素敵な界隈であった。 「総員起シ」は戦争中に起こった船の事故を生存者の証言を基 […]
門司港から夜行のフェリーで松山に渡り、道後温泉で朝風呂に浸かった後に、伊予鉄道で三津に行き、のんびりと三津浜を散策したことがあった。三津浜は江戸から明治にかけて栄えた船の発着地点で、「坂ノ上の雲」の秋山兄弟や正岡子規などが激動の時代へと漕ぎだした地である。古い町並みや造船施設などノスタルジックな雰囲気がたっぷりと味わえる素敵な界隈であった。 「総員起シ」は戦争中に起こった船の事故を生存者の証言を基 […]
まだサンダーバードが大阪ー金沢間で営業運転をしていた頃、大阪駅でサンダーバードの座席に座り出発を待っていた。乗客の多くは年末の帰省客と思われる雰囲気があり、みなが静かに出発を待っていた。すると、雪の影響で線路に倒竹があり撤去のために少なくとも一時間は出発できないというアナウンスが流れた。静かに座って出発を待っていた乗客の皆さんは、アナウンス終了と同時に一斉に買い出しに出掛けて行った。しばらくして、 […]
雪とは不思議なもので、例えば、寝ている間に初雪が降った日の朝は、布団の中で目が覚めた瞬間になんとなく「あっ、雪が降ったな」と感じることができる。音や匂いでわかるのだ。また、根雪になって辺り一面が銀世界になると、気温や天候によって、同じ場所から見る景色が毎日毎日ドラマチックに変わり、なんとも幻想的な風景を見ることができる。月が出た夜などは、白いはずの雪が青い光を放って見え、もしかすると雪は昼と夜で全 […]
水戸納豆がピンチという衝撃的なニュースを新聞で見た。藁に包まれた「わら納豆」の生産ができず販売を一時中止するということである。なぜこのニュースが衝撃的なのかと言うと、「わら納豆」は、その納豆を包んでいる「わら」を使えば自宅で納豆を作ることができるという、二度美味しい商品だからである。茨城県を訪れた際に、わら納豆を買って帰ったのであるが、これは出来上がった納豆を藁に包んだだけの商品なのか、本当に納豆 […]
横浜に住んでいるせいか、三浦半島の先端から横須賀そして横浜市と厚木基地のある大和周辺さらに町田から八王子にかけては、いろんな用事やイベントごとがあって頻繁に足を運ぶ地域である。この地域は国道16号線でつながる街である。しかし国道16号線というのは、ユニクロやスターバックスやニトリと言った所謂チェーン店舗が道路沿いに立ち並ぶ、なんとも退屈と言おうか殺風景と言おうか、あまり面白さを感じることのない、ひ […]
還暦を迎えた年に、自分へのお祝いとして予てから泊まってみたいと思っていた神保町の「山の上ホテル」で、作家気分でも味わいながらのんびり一泊をしてみようと決めた。その翌日になんと山の上ホテルが廃業するというニュースが配信された。その時点で、もう廃業までの全ての部屋が満室となり、作家気分で缶詰め生活をする夢が絶たれてしまった。レストランは未だ予約を取ることができたので、廃業の決まったホテルのレストランで […]
月に一度おじさんだけが上野のお寺に集合をして編み物をするというシュールな会に参加をしていた。年齢や職業や編み物スキルもバラバラ。教室ではなく、ただ黙々と編むためだけに集まり、終わると帰ってゆく、平和なニッターの集いであった。その中には、理学博士やシステムエンジニアといった理系頭脳のニッターもいて、奇想天外なトリック仕掛けを編み込んで腰を抜かしそうになるくらい驚くことが何度もあった。その人たちに言わ […]
一月にふらっと岩手県へひとり旅に出た。漆器の工房と鉄器の工場見学以外は全く予定を入れずの行き当たりばったりの旅だった。持って行った本も初日で読み終えたので、盛岡で本を買った。タイトルが僕の旅の仕方にとても似ていたので、「へたな旅」という本を選んで読んだ。牧野さんという方の書いたエッセイだった。 ところで、大学時代に暮らしていた学生寮のルームメイトの野中くんが、高校時代の水泳部の友人の話をよくしてい […]
兄を持つ友人は、兄ではなく兄以外の兄弟姉妹がいたら良かったのにと言う。妹を持つ友人は、妹ではなく妹以外の兄弟姉妹がいたら良かったのにと言う。姉と弟を持つ友人は、妹か兄が良かったと言う。兄と姉と弟と妹を持つ友人に聞いてみたら、兄弟は不要でひとりっ子が良かったと言う。学生時代の友人たちとの会話だけれど、その時のみんなに「円卓」を読ませてやりたい。 本: 「円卓」 西加奈子 ブックカバー: デカルネロカ […]
人の感情は複雑である。自分には持っていないものを他の誰もが持っているように見えてしまう。全てを持っている人は存在しないのだけれど、その人が何を持っていないのかを知るにはそれなりの関係性を築く時間が必要である。そして、他の誰かの持っていないものを知ることによって、ようやくその人のことを大切に思えてきたりする。それなのに、人は自分が持っていないものを他の人に知られたくはなく、簡単に触れて欲しくないもの […]